Underwater Wine from Basque, Spain
Underwater Wine from Basque, Spain
海底では地上より早く熟成するという関係性はあるものの、地上熟成と海底熟成が同じ状態や分析結果となるわけではありません。
単なる年月・時間計算の問題では説明が難しい点です。それは(ワインの熟成において)別の”旅”であり、海底熟成はより熟成度が加速・進化する旅ではありますが、地上の旅(地上で長期間静置する熟成)と同じ場所に連れていってくれるわけではありません。 海中では、ワインボトルに対して海のエネルギーが加わり、また酸素も多く存在するため、水中では地上と比較してワインの”呼吸”がより活発になります。それに加えて、海中で発生する温度変化は、ボトル内の容積を変化させるため、ワインが化学反応する速度に対し非常に良い影響を与えます。コルクでもOTR(コルクを介した酸素の移動量)が殆ど同じになるよう、個体差が少ないテクニカルコルクを使用しています。個体差がないコルクを使用することは、海底でワインを熟成させる際にとても重要です。
海底熟成ワインの熟成・発達は、酸素の量、そして、ボトル内で生じる海洋エネルギーによって発生した運動変化と連動しています。つまり、海底熟成では、特に、重合現象やタンニン-アントシアニンの結合現象による化学反応が、地上よりもはるかに速く進むのです。"Saracho(ワイナリー創設者)はスペインの著名なワインメーカー達をブラインドテイスティングに招待しました。海底で熟成させたワインと地上で熟成させたワインを飲み比べた結果、彼らは、海底熟成させたワインをより高く評価したんです。"
"正直言って、「海底ワイン」なんて初めは少し懐疑的でした。でも実際に飲んでみて、とても興奮しました!まるで、さらにもう1年瓶の中に入っていたかのように、ある種の熟成感とまろやかさが感じられるんです。"
"懐疑的な人でも、世界で初めて成功した海底ワインセラーのその特異性(光・温度・揺らぎ)が、ワインに大変珍しい作用を与えていることに気が付くだろう。アワード受賞・限定生産のワインは、ミシュラン星付きレストランからも選ばれ、国外にも輸出されている。"
"豊かな緑を戴きながら、白く険しく乾いた岩山。その崖面に囲まれて青々と湛うプレンツィアの海は実に絵画的です。船を繰り出し、スーツと機材を身につけて潜ってゆくと、かすかな濁りの向こうにワインケージが姿を現します。そして近づくにつれ浮かび上がる無数の魚の影。ゆったりと浮かんで群れ佇むさまは小惑星帯のようです。
- 長嶋祐成