「イタリアの食糧庫」、プーリア州
恵まれた日照量と肥沃な平野が広がるプーリア州は、「イタリアの食糧庫」とも呼ばれています。ブドウ(ワイン)やトマトだけでなく、小麦の栽培も盛んなプーリア州は、高品質のデュラム・セモリナ粉から造るパスタの生産地として世界的に有名です。小麦が美味しいということは…そうです、パンも勿論美味しいんです。さらに、州内には「パンの街」もあるんです。
プーリア州の州都・Bari(バーリ)市内からも近いAltamura(アルタムーラ)、ここがプーリアの「パンの街」です。
パンの街アルタムーラ
アルタムーラを含むプーリア州の中部はムルジア(Murgia)というカルスト台地(地表に突出した石灰岩が雨水などにより浸食されて出来た地形)の地域です。この地域では伝統的にパンが造られており、特に、1~2週間と保存が効くパンは、忙しい時期には家を数日留守にする小作農や羊飼いの常備食として重宝され、中世には既にこの地域のパンの造り方が確立されていたようです。以前はパンのタネを各家庭で準備し、公共の場にあった窯に入れて焼いていたとのこと。その際、誰のパンなのかが分かるように、パン(タネ)を造った人のイニシャルを入れて窯に入れていたようです。
1527年のアルタムーラ地域の公文書にアルタムーラの伝統的なパン作りについて記載があり、この街が数百年も前から「パンの街」であったことがうかがえます。この地域の特産品であるパンは、2003年、EU政府により「Pane di Altamura(アルタムーラ産のパン)」として原産地呼称保護(DOP)認定されました。なんと、イタリア国内でパンに対してDOP認証がされたのは、このアルタムーラが記念すべき第一号でした。
Pane di Altamura(アルタムーラ産のパン)
アルタムーラ産のパンとしてDOPを名乗るためには、ワインと同じように、使う材料、その生産地、造り方が細かく定められており、それらに従う必要があります。
例えば、使う小麦はデュラム小麦のセモリナ粉、中でも品種は‘appulo’、 ‘arcangelo’、 ‘duilio’、 ‘simeto’のみ。さらに、これらの小麦は特定の5地域内(Altamura、Gravina di Puglia、Poggiorsini、Spinazzola、Minervo Murge)にある登録済みの栽培者が造る小麦を80%以上使用すること。さらに、使う水の温度、出来上がるパンの重さ(少なくとも0.5kg以上)、焼く時間、出来たパンのクラスト(パンの外側の茶色い部分)が3mm以上…などなど、細かく定められています。
パンとワインは抜群の相性ですが、この2つともにトップクラスの一品が味わえるプーリア州、最高ですね♬
※参考データ:30126 12..12 (europa.eu)