ネーロ・ディ・トロイア(Nero di Troia)の特徴
ネーロ・ディ・トロイアの名前の由来と起源
最近注目を集めているネーロ・ディ・トロイア種(Nero di Troia)は、プーリア州でも特に北部地域で栽培される土着品種です。
イタリア農林省によると栽培面積は約2,600ヘクタール。「ネーロ(nero)」とは、「黒」という意味のイタリア語で、色の濃いこのブドウ品種の特徴を現しています。このブドウは、現地ではウーヴァ・ディ・トロイア(Uve di Troia)とも呼ばれますが、「ウーヴァ(uva)」とはブドウという意味で、直訳すれば「トロイのブドウ」となります。
ネーロ・ディ・トロイアの起源としては、2つの説があります。
一つは、ギリシャが起源というもの。ネーロ・ディ・トロイア種のDNAがギリシャ原産のブドウ2品種と関係があることが確認されているためです。もう一つの説は、アルバニアが起源というもの。品種名のトロイア(Troia)は、古代のアルバニアの首都だったクルヤ(Krujë)が変形した言葉とする考え方に基づきます。また、アドリア海を隔てた隣国であるアルバニアとプーリアは、歴史的にも昔から強い関係がありました。そのため、人や物が交流する中でブドウの木も持ち込まれたのではないかとも考えられています。
プーリアのDOCG
ネーロ・ディ・トロイアは、扱いが難しいブドウと言われています。
ブドウが芽吹き始めるのはシーズン半ばですが、収穫時期は9月後半~10月下旬とプーリア州のブドウ品種の中では遅めです。完熟するまで時間がかかります。
そして、タンニンを多く含むので、早く摘もうとすると(未完熟だと)青っぽく、強いタンニンが残ります。
その一方で、ブドウ自体の酸は低~中程度。暑いプーリア州で完熟させようとして樹上においておくと…次第にブドウの実に含まれる酸は減っていきます。
そのため、完熟しつつもバランスよい酸味を上手くキープしたブドウ、そしてワインにするのは、簡単ではありません。
他のタンニンが多いブドウ品種と同じく、ネーロ・ディ・トロイアもモンテプルチャーノなど他のブドウ品種とブレンドされることが大半でした。例えば、ネーロ・ディ・トロイアが使用されているDOCGでも、他のブドウ品種の使用が認められています。
◆Castel del Monte Nero di Troia Riserva(カステル・デル・モンテ・ネーロ・ディ・トロイア・リゼルヴァ)
→90%以上がネーロ・ディ・トロイア
◆Castel del Monte Rosso Riserva(カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァ)
→65%以上がネーロ・ディ・トロイア
現在では、プーリアのワイン生産者及びブドウ栽培における技術自体も向上し、この品種の魅力を十分表現できるようになったことから、ネーロ・ディ・トロイア単一で赤ワインやロゼワインが造られています。
この品種の名産地は、八角形を象徴的に取り入れた珍しい城の世界遺産カステル・デル・モンテ(神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世が建城)があるエリアです。イタリアワインの最上級格DOCGが与えられており、良質なワインが造られています。フリードリヒ2世(フェデリーコ2世)がネーロ・ディ・トロイアのワインが大好きで、プーリア北部の領土にこのブドウ品種を植樹させたといわれています。
ネーロ・ディ・トロイアの香りと風味
収穫の時期は、プーリアを代表する3品種(プリミティーヴォ、ネグロアマーロ、ネーロ・ディ・トロイア)の中では一番遅い9月後半から10月下旬です。比較的アントシアニンの少ないブドウなので、ワインに濃い色は付きませんが、近年ではマーケティングの観点からプリミティーヴォに似せて造ることが多く、濃いルビー色のワインが多くあります。香りはとてもエレガント、レッドチェリーや赤スグリ、黒胡椒やタバコの香りが感じられます。味わいはバランスの良い酸味と強いタンニンが味わえます。若いうちはタンニンが強めですが、時間とともにまろやかになり、長期熟成にも適するワインです。ポリフェノールも豊富に含まれます。
プーリアには、「ネーロ・ディ・トロイアを飲むと100年生きられる」との言い伝えがあるそうです。美味しくて長生きできるワインなんて、最高ですね!
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※他のブドウ品種(白ブドウなど)も「ブログ」の中で紹介しています。あわせて是非ご覧ください!