多くの亜種があるブドウ、"マルヴァジーア"とは?
「マルヴァジーア」ですが、地中海地域周辺などを中心に古くから栽培されてきた複数のワイン用ブドウ品種の「総称」なんです。
さらに、マルヴァジーアと名が付くブドウには、白ブドウだけでなく、黒ブドウも含まれ(灰色のブドウもある)、造られるワインは、白・赤・ロゼワイン、辛口から甘口に加えスパークリングや酒精強化ワインまで!と、かなり多様です。
栽培される国も広く、イタリア、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、スロヴェニアというヨーロッパだけでなく、アメリカでも栽培されています。
ちなみに…世界三大酒精強化ワインの一つとも言われるポルトガルの「マデイラ」にも、使用可能なブドウ品種の中にマルヴァジアの一種(Madeira Malvasia またはMalmseyとも)が含まれています。
現在、イタリア農林省に登録されているブドウ品種の中で、マルヴァジーア(Malvasia)という単語が付くブドウは、、、なんと19もありました。多いですね。
マルヴァジーアの起源と名前の由来
正確な起源は定かではないようですが、有力な説としてギリシャが起源と考えられています。
また、 "マルヴァジーア" という名前も、ギリシャの海岸沿いの町、モネンヴァシア(Monemvasia)という名前と関係があるとされています。
この町は、水の都・ヴェネツィアが共和国として栄えていた中世時代に重要な要塞・交易拠点があり、イタリアと商業的に関係があったようです。
さらに、ヴェネツィア商人の間では、中世時代を通じてマルヴァジーアが広く普及したことから、彼らが経営するワインバー(ショップ)を「マルヴァジー(malvasie)」という名で呼んでいたようです。
このように、一種の流行りであった「マルヴァジーア」。有名になったのは良いのですが、DNAは全くマルヴァジーアと関係がないブドウ品種にもMalvasiaという単語が付けられてしまったり、またはさらに品種が枝分かれしたり、地域によって呼び方が異なったりと、今では "大家族" になっています。
マルヴァジーア・ビアンカの特徴(香りと風味)
このように、種類が多いだけでなく歴史的に興味深いストーリーがある"マルヴァジーア" ですが、プーリア州でも複数の種類が栽培されています。
白ブドウでは「マルヴァジーア・ビアンカ」という品種がプーリア州内で広く栽培されています。
このマルヴァジーア・ビアンカ、完熟するとブドウの実は黄緑~麦わら色になり、ワインとしては単一品種または他品種とブレンドもされます。
また、この品種から造られるワインは、酸味は高く、白い花やレモンなどの柑橘類、青りんごやハーブのような香り・風味となります。
※参考データ:イタリア農林省ホームページ、Malvasia(Italian Wine Central)、malvasia bianca (enotecaregionalepuglia.com)、Malvasia(Wine-Searcher)、Malvasia Bianca b. (Puglia Wine World)