1963年以前のイタリアワインの等級
以前のブログ記事「イタリアワインの格付けについて」で紹介したように、イタリアワインの等級は1963年にDOC法により定められました。では、それより以前はどのようなルールがあったのでしょうか?
1930年までにはイタリアで初めてワイン生産者を保護するための規定が作られました。当時、イタリア農業省にワインの生産地域を明確にする任務が与えられたからです。そして、品質による3つのレベルが導入されたのですが、それは伝統的な地元のワインという意味のVini Tipici(典型的なワイン)というカテゴリー下での分類でした。
・Vini Speciali (スペシャル・ワイン:特別なワイン)
・Vini Superiori (スーペリア・ワイン:優れたワイン)
・Vini Fini (ファイン・ワイン:上質なワイン)
ワイン業界からは特に反響もない、かなり大雑把な区分けでした。
さらに歴史を遡ると、イタリア王国が成立した1861年からイタリア各地で作られるワインが「イタリアワイン」になったと言えるかもしれませんが、1930年まで特に明確な規定はありませんでした。各地方で伝統的にワインが造られ、そして飲まれていましたが、統一的なルールもない状態が1930年頃まで続きました。
そして時代が変わり、1963年になってようやく現在のシステムの原型となるワインの原産地呼称の概念が確立し、新たにDOC法として制度化されました。これが現在のイタリアワインの格付け制度となっています。