プリミティーヴォの魅力を極める

プリミティーヴォの魅力を極める

プーリア南部の小さなワイナリー「アンティコ・パルメント」

プーリア州南部、サレント半島の付け根に位置するマンドゥーリア(Manduria)は、イタリアを代表する赤ワイン品種「プリミティーヴォ」の名産地として知られています。この歴史あるワインの土地に、小規模ながらも地元のテロワールを最大限に引き出す家族経営ワイナリーがあります。

その名は「アンティコ・パルメント(Antico Palmento)」。町の中心部にある伝統的な建物を活かし、手作業を大切にした丁寧なワイン造りを続けています。


伝統に根ざし、自然に寄り添うワイン造り

オーナーのブルーノ・ガロファノ氏は、カンパーニア出身の醸造家。1970年代にプーリアへ移り住み、州内各地のワイナリーでコンサルタントとして活躍したのち、1998年に自身のワイナリーを立ち上げました。

彼が手に入れたのは、1910年代に建てられた伝統的な発酵槽付きの建物「パルメント」と、数ヘクタールのブドウ畑。ステンレスタンクや樽、ラベリング機器まで、すべての設備を修繕しながら今も自分たちの手で使い続けています。ボトリングやラベル貼りもワイナリー内で行うという、まさに“手造り”の哲学が息づく現場です。


土壌とブドウの力を信じて

畑の土壌は「テラ・ロッサ」と呼ばれる赤土。鉄分を多く含み、石灰質や粘土質が混ざった土地は、果実味とミネラルを兼ね備えたプリミティーヴォに最適です。強い日差しと少ない降水量という気候条件も、ブドウの凝縮感を高めます。

アンティコ・パルメントの信念は「近道はしない。人的な介入は最小限に」。収量よりも品質、効率よりも本質。彼らが育てるのはほぼすべてプリミティーヴォであり、そのブドウを最も純粋な形で表現することを目指しています。


次世代へ受け継がれる哲学

現在は、息子のガブリエーレ氏がブドウの栽培から醸造までを担うようになりましたが、ワインのバックラベルには今も「醸造家 ブルーノ・ガロファノ」の名が記されています。

「ワインとは、自然の流れに寄り添い、伝統に忠実でありながら、新たな技術にも開かれているべきもの」。このブルーノ氏の言葉に、彼の哲学と家族の誇りが凝縮されています。

 

📚 もっと詳しく知りたい方へ


このワイナリー訪問記は、当社代表が執筆した書籍
『南イタリア・プーリアを旅する とっておきのワインと料理の楽しみ方ガイド: ワインインポーターが出会った、誰も知らない本当のプーリア』
にも掲載されています。現地でしか知り得ない空気感とともに、プリミティーヴォの奥深い魅力を伝える一冊です。

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土地に根ざした哲学と、家族で守り続ける伝統。
アンティコ・パルメントは、プリミティーヴォの本質を極める小さな巨人です。

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