Antico Palmento(アンティコ・パルメント)の紹介

マンドゥーリアの中心で極上プリミティーヴォを造り出す家族経営ワイナリー

 

マンドゥーリアは、プーリア州のサレント半島にある、プリミティーヴォ種の生産地として非常に有名なエリアです。そのマンドゥーリアの町の中心部に、1998年に小さな家族経営ワイナリーとして誕生したのがAntico Palmento(アンティコ・パルメント)です。

オーナーのBruno Garofano(ブルーノ・ガロファノ)は、いつか自分のワイナリーを持つという想いを胸に秘めつつ、40年来ブドウ・ワイン造りに携わってきました。そして、マンドゥーリア内にある数ヘクタールのブドウ畑と1910年代前半に造られた「パルメント(※ワインの発酵槽を備えた構造物)」を手に入れ、1998年にワイナリー設立を実現させます。

ワイナリーの入り口は小さいながら、中に足を踏み入れると、ワインの試飲だけでなく、ワイン愛好家向けのワイン講座やイベントなどが出来るスペースが用意されています。部屋の奥、そして地下に降りると、ワインタンクや樽が並んでいます。ボトリングやラベル貼りも全て小さなワイナリー内で作業されますが、彼らは、パルメントだけでなく、ワイン造りに必要な全ての装置・設備を大切に、そして丁寧に修繕しながら使用しています。

マンドゥーリアにある彼らの畑は、ブドウ栽培者や農家から「terra rossaテラ・ロッサ)」と呼ばれる赤土の土壌です。石灰岩が風化すると、中に含まれる炭酸カルシウムが土に溶け出します。溶けだした成分に含まれる鉄分などが酸化することで、土が赤っぽい色となります。彼らの畑の土壌は、酸化鉄・粘土、そして石が多く、特に株仕立てでのブドウ栽培に最適な特徴を持っています。この畑で、南イタリアの強い陽射し、少ない降雨量といった気候的要因が合わさることで、ミネラルと糖分が豊富な素晴らしいブドウ、そしてワインが造り出されます。

畑でもセラーでも、彼らの‟哲学”は一貫しています。それは、「近道はせず、人的な介入は極力控える」という考えです。素晴らしい大地の恵みであるテロワールを最大限に表現する最上のワインを、‟限られた量”のみ生産することを目指しており、各ラベルの生産量も毎年ごく僅か。扱うブドウ品種も地場品種を基本とし、この地域の主要なブドウ品種、プリミティーヴォにフォーカスしています。

オーナーのブルーノは、「ワイン造りは、自然の成り行きに寄り添い、古い伝統に忠実でありながら、常に革新的な技術の適用を目指すもの」と話します。このような彼らの哲学、日々の細やかな作業があるからこそ、余分なものを削ぎ落とした、心を揺さぶるような本物のワインが生まれるのです。

 

醸造家ブルーノ・ガロファノ

 

ワイナリーのオーナー、ブルーノ・ガロファノは高校時代に生まれ故郷であるカンパーニア州のアヴェッリーノにて、ブドウ栽培とワイン醸造を学んだ後、地元のワイン関連の企業で働きながら醸造コンサルティングを開始しました。プーリア州のサレントに移り住んだのは1970年代前半、ここで彼はプリミティーヴォと出会います。プーリアに移ってからは、40年にわたり、州内の様々なワイナリーでワイン醸造家としてコンサルティングを行っていました。

プーリア州の大規模なワイン協同組合で醸造家・技術責任者を長年務めていた彼は、次第に主流であるブレンド生産(ブドウ品種を複数ブレンドして造るワイン)から脱却し、‟品質”に重点を置いて生産を行う地元の小規模生産者にアドバイスを与えるようになりました。また、プリミティーヴォ種の偉大な表現力を当初から理解していた彼は、このパワフルで多才なプリミティーヴォという品種・ワインが、正当な評価を受けるよう、数十年にわたり多大な努力をしてきました。

プーリア州内のターラント、ブリンディジ、レッチェという都市にある商工会議所のDOCワイン試飲技術者委員会(Tecnici Degustatori di vini DOC )のメンバーであり、外部専門家として、地元の農業技術学校で指導も行っていました。

彼の情熱はワインだけに留まりません。歴史、そして食とワインの文化にも明るく、プーリア州のプロのオリーブオイルテイスター、そしてイタリア料理アカデミーのメンバーでもあります。

ブルーノ・ガロファノにとって、仕事とワインへの情熱の間に明確な境界線はありません。ワイン造りにおいて数々な重要な役目を果たしてきた彼。現在は、これまでと同じ情熱を携えたまま、また、家族という力強いチームとともにワイン造りに専念し、グラスを通してプーリアの魅力を世界中に伝えています!

 

ワイナリーを支える第二世代

ワイナリー管理者:マリアンジェラ・ガロファノ

マリアンジェラ・ガロファノは、オーナー夫妻の子供たち(3兄妹)の末っ子です。栄養学を専門に学び、修士課程では、「イタリア産ワインの発酵における酵母の活性」について研究していました。ワイナリーではワインの生産管理をメインに担当していますが、父ブルーノの跡を継ぐように、醸造学の科学的知識も活かし、醸造や技術面をサポートも行っています。旅行と自然探索、そしてワインをこよなく愛する彼女。生まれ育った土地、そしてブドウへの愛情を通じた地元地域の発展・振興のため活動しています。

 

セラーおよび畑の管理者:ガブリエーレ・ガロファノ

ガブリエーレ・ガロファノは、大学時代に携わっていたホスピタリティーや飲食業界に情熱を傾け、卒業後はトスカーナ州とエミリア・ロマーニャ州で約10年働いた後、プーリア州の故郷に戻ってきました。現在は、日々のブドウ・畑の手入れも含め、ブドウが畑からボトルに詰められワインとなるまでの生産プロセスの全ての作業を担っています。

陽気でフレンドリーな性格の彼。イタリア国内はもとより、世界中からワインを目的に来る訪問者を常に心から歓迎して迎え入れてくれ、自慢のワインを皆に味わい楽しんでもらうことを、彼自らが楽しみにしています。おもてなし、エンターテイメント精神に溢れる人物です。

 

Palment(パルメント)とは? 

「パルメント」とは、昔のワイン発酵槽及び発酵槽を備えた構造物を意味します。パルメントの語源はラテン語の名詞「pavimentum」に由来すると考えられており、その語源は「pavire」(叩く)という意味の動詞です。当初の形態としてのパルメントは岩を削って作った浅いくぼみ(pavimento)であり、そこで足で潰したブドウを放置して発酵させていたと考えられます。

ヘレニズム時代からローマ帝国時代にかけて、「パルメント」と呼ばれる装置および構造物とその用途は、現在のジョージアからポルトガル、イタリア、スペイン、フランスというように、次第に南ヨーロッパおよび地中海沿岸に広まったと考えられます。

パルメントは、南イタリアの地域で発展し、さらにこの地の気候や土壌の性質を反映した結果、今日のような構造物としての「パルメント」に進化しました。この地域の土壌は、柔らかく加工しやすい石灰質がメインです。そのため、岩盤そのものを直接掘削し、ブドウやオリーブオイルなどを造り貯蔵するような構造物、つまり‟セラー”を作ることが出来たと考えられます。

Antico Palmento (アンティコ・パルメント)のワイナリー内部について 

アンティコ・パルメントがワイナリーとして使用する建物は、もともと1900年代初頭に建てられた歴史的な建造物です。1960年代に使用されなくなっていましたが、ブルーノ達により慎重な修復が重ねられ、建物の内部構造を再利用しながら、ワイン生産が可能な状態に整えられました。ワイナリー内の天井は、中世時代の典型的な建築様式である星形ヴォールトと呼ばれるアーチ型の形状です。

地下には、1910年代前半に鉄筋コンクリートで作られた大小のタンクがあり、このタンク自体が貴重な建造物の一部を成しています。発酵槽は高架式のタンクになっており、上部には砕いたブドウを入れるための大きな搬入口、タンク前壁にはブドウの排出口があり、アンティークの頑丈な木製の扉で閉じられています。これらのワイン醸造に欠かせない発酵槽や古いコンクリートタンクは、メンテナンスされながら、現在もしっかり稼働しています。収穫されたブドウは、畑から直接マンドゥ-リア市内のワイナリーに運ばれます。そして、このワイナリーの中で、ブドウの処理から醸造、熟成、瓶詰めまでの一連の作業が行われます。

ワイナリーそのものが、マンドゥーリアという土地・歴史を物語る建造物でありながら、テクノロジー、そしてワイン醸造学の最新知識を融合したワイン造りが行われています。「歴史と先端技術」の双方を上手く組み合わせること、これが、ワイナリー、アンティコ・パルメントの哲学です。

彼らは、忘れ去られようとしていたこの地のアイデンティティとも言える農業、ワイン醸造の文化・文明、そして、貴重な建造物に対して、新しい命を吹き込んだことを心からの誇りとしています。

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