南イタリア・プーリア州のアドリア海に近い町、カロヴィーニョ(Carovigno)。白壁の町並みが美しいこの丘の上の町に、ひっそりと佇む家族経営のワイナリーがあります。その名も「イ・ボンジョールノ(I Buongiorno)」。プーリアの地元品種を使い、オーガニック栽培のブドウから丁寧に造られるワインは、どれも洗練された味わいで、地元の食文化と美しく調和しています。
このワイナリーを率いるのは、テオドシオ・ボンジョールノ氏。祖父の代から続く家業のレストランを継ぎ、プロのソムリエ、そしてテイスターとして研鑽を積んだ後、星付きレストラン「Già Sotto l’Arco(ジャ・ソットラルコ)」のオーナー兼ソムリエとして活躍しています。妻はシェフとして同レストランを支えており、夫妻で極上の食体験を提供しています。
ソムリエが生み出す、土地に根ざしたワイン
テオドシオ氏のワイナリーは、ブドウ畑や醸造所を自社で持っていないという点でユニークな存在。けれども、彼はあえてそのスタイルを選び、納得のいく畑とブドウを厳選。自らの舌で確かめながら、「料理とともにあるワイン」を追求しています。
使用するブドウは、ネグロアマーロ、ススマニエッロ、プリミティーヴォ、フィアーノ、マルヴァジーア・ビアンカなど、いずれもプーリアを代表する地元品種。ステンレスタンクとオーク樽を使い分け、ブドウの個性を最大限に引き出しています。さらに、ミツバチの再導入やハーブエッセンスによる畑の管理など、自然環境との共生も大切にしており、持続可能なワイン造りに真摯に向き合う姿勢が印象的です。
心に残る白、「フィアーノ」
数あるラインナップの中でも、特に記憶に残っているのが、白ワイン「フィアーノ」。ステンレスタンクで仕上げられたその味わいは、フレッシュな酸と柑橘系果実の香りが広がり、まるで南イタリアの太陽をそのまま閉じ込めたよう。飲み終えた後も、爽やかで心地よい余韻が長く続きます。
レストラン併設のショップでは、ドイツからの観光客が「このワインのファンで、毎年買いに来る」と語る姿も見られ、リピーターの多さに驚かされました。
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📚もっと詳しく知りたい方へ
このワイナリー訪問記は、当社代表が執筆した書籍
『南イタリア・プーリアを旅する とっておきのワインと料理の楽しみ方ガイド: ワインインポーターが出会った、誰も知らない本当のプーリア』
にも収録されています。プーリアの隠れた魅力を、リアルな体験とともに綴った一冊です。
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ワインと料理が溶け合う、美しき南イタリア・プーリアの世界。
「イ・ボンジョールノ」のワインは、その魅力を一杯のグラスに閉じ込めて届けてくれます。