ワインのはなし

ロゼワイン

ロゼワインとは

人気上昇中のロゼワイン ロゼワイン、皆さんは良く飲まれますか?日本のショップでも近年ロゼワインを目にする機会が増えてきました。フランスではロゼ人気が今までにないほど盛り上がっているそうで、近年の調査によると、フランス国内におけるワイン消費量のなんと30%がロゼであり、白ワイン17%を上回っているとのこと。プーリアでは、このブーム以前からロゼワインの生産が盛んであり、またよく飲まれてきました。今回はそんなロゼの造り方をご紹介します。   ロゼはどう造るの? 赤ワインと白ワインの造り方は以前のブログ「赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方)」で説明しましたが、その中間色ともいえるロゼワインはどうやって造るのでしょうか? 主なロゼワインの造り方として、直接圧搾、短期間のマセラシオン、ブレンドの3つがあります。 一つ目は直接圧搾。 こちらは、黒ブドウを用いて白ワインの造り方をする方法です。収穫後すぐに黒ブドウを圧搾することで、果汁に果皮の赤い色素をつける方法です。長時間漬け込まないため濃い赤色やタンニンの抽出は少なく、淡い色の軽やかなロゼに仕上がります。上品なロゼに仕上げたいときに使う手法です。 もう一つは短期間のマセラシオン。 こちらがロゼワインを造る際によく使われる方法です。途中までは赤ワインの造り方と同じですが、果皮と種を漬け込んでいる最中に、果汁が適度な色合いになった時点で果汁を引き抜きます。フランス語では血抜きを意味するセニエ法といいます。この方法はしっかりした色の力強いロゼに仕上がります。 三つ目はブレンド。 アルコール発酵を終えた白ワインに赤ワインを混ぜて(ブレンドして)から熟成させる“ロゼワイン”の造り方です。EU圏内ではブレンド方法は原則禁止ですが、唯一、フランス・シャンパーニュ地方のロゼ・スパークリングがこの方法が認められています。 なお、混醸法といって、アルコール発酵前に黒ブドウと白ブドウを一定の割合で混ぜてから発酵させるロゼワインの造り方もありますが、この手法を採るワインは多くはありません。混醸法では果皮を漬け込む際に白ブドウも含まれるため、完全な赤色にはならず、ピンク色となります。   プーリアのロゼ プーリア州では伝統的にロゼワインが多く造られてきました。それは、プーリアが地理的に海に囲まれており、豊かな魚介類を中心とした食文化を持つことと関係しています。プーリアと言えば、プリミティーヴォに代表されるパワフルな赤ワインが印象的ですが、魚介類と合わせるにはワインが強すぎます。白ワインの方が魚料理に合わせやすいのですが、プーリアは以前は今ほど良い白ブドウが多く採れなかったため、黒ブドウからロゼワインを造り、魚介系の食事に合わせていたのです。(現在では、プーリアでも白ワインは赤・ロゼと同程度の生産量です。) イタリアで初めて瓶詰めされたロゼワインはプーリア産のネグロアマーロ種だったということからも、この地で伝統的にロゼワインが造られていたことが伺えます。現地のスーパーやワインショップではロゼワインの品揃えの豊富さに驚きます。 あっさり系の肉料理だけでなく、魚介系の料理にも合わせやすい万能なプーリアのロゼワイン!今までロゼはあまり飲んだことがない…という方も、是非、当店のロゼを楽しんでください。   >おいしいロゼワインはこちら

ロゼワインとは

人気上昇中のロゼワイン ロゼワイン、皆さんは良く飲まれますか?日本のショップでも近年ロゼワインを目にする機会が増えてきました。フランスではロゼ人気が今までにないほど盛り上がっているそうで、近年の調査によると、フランス国内におけるワイン消費量のなんと30%がロゼであり、白ワイン17%を上回っているとのこと。プーリアでは、このブーム以前からロゼワインの生産が盛んであり、またよく飲まれてきました。今回はそんなロゼの造り方をご紹介します。   ロゼはどう造るの? 赤ワインと白ワインの造り方は以前のブログ「赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方)」で説明しましたが、その中間色ともいえるロゼワインはどうやって造るのでしょうか? 主なロゼワインの造り方として、直接圧搾、短期間のマセラシオン、ブレンドの3つがあります。 一つ目は直接圧搾。 こちらは、黒ブドウを用いて白ワインの造り方をする方法です。収穫後すぐに黒ブドウを圧搾することで、果汁に果皮の赤い色素をつける方法です。長時間漬け込まないため濃い赤色やタンニンの抽出は少なく、淡い色の軽やかなロゼに仕上がります。上品なロゼに仕上げたいときに使う手法です。 もう一つは短期間のマセラシオン。 こちらがロゼワインを造る際によく使われる方法です。途中までは赤ワインの造り方と同じですが、果皮と種を漬け込んでいる最中に、果汁が適度な色合いになった時点で果汁を引き抜きます。フランス語では血抜きを意味するセニエ法といいます。この方法はしっかりした色の力強いロゼに仕上がります。 三つ目はブレンド。 アルコール発酵を終えた白ワインに赤ワインを混ぜて(ブレンドして)から熟成させる“ロゼワイン”の造り方です。EU圏内ではブレンド方法は原則禁止ですが、唯一、フランス・シャンパーニュ地方のロゼ・スパークリングがこの方法が認められています。 なお、混醸法といって、アルコール発酵前に黒ブドウと白ブドウを一定の割合で混ぜてから発酵させるロゼワインの造り方もありますが、この手法を採るワインは多くはありません。混醸法では果皮を漬け込む際に白ブドウも含まれるため、完全な赤色にはならず、ピンク色となります。   プーリアのロゼ プーリア州では伝統的にロゼワインが多く造られてきました。それは、プーリアが地理的に海に囲まれており、豊かな魚介類を中心とした食文化を持つことと関係しています。プーリアと言えば、プリミティーヴォに代表されるパワフルな赤ワインが印象的ですが、魚介類と合わせるにはワインが強すぎます。白ワインの方が魚料理に合わせやすいのですが、プーリアは以前は今ほど良い白ブドウが多く採れなかったため、黒ブドウからロゼワインを造り、魚介系の食事に合わせていたのです。(現在では、プーリアでも白ワインは赤・ロゼと同程度の生産量です。) イタリアで初めて瓶詰めされたロゼワインはプーリア産のネグロアマーロ種だったということからも、この地で伝統的にロゼワインが造られていたことが伺えます。現地のスーパーやワインショップではロゼワインの品揃えの豊富さに驚きます。 あっさり系の肉料理だけでなく、魚介系の料理にも合わせやすい万能なプーリアのロゼワイン!今までロゼはあまり飲んだことがない…という方も、是非、当店のロゼを楽しんでください。   >おいしいロゼワインはこちら

白ワイン

赤ワインと白ワインの違い(白ワインの造り方)

白ワインの造り方 赤ワインと白ワインの違い(ブドウの違い)で触れましたが、白ワインは白ブドウを使用して造られるのが基本です。では、造り方のプロセスは赤ワインと何が違うのでしょうか?今回は白ワインの造り方について詳しくご紹介します。 一般的な白ワインは、ブドウを収穫した後、以下のプロセスを経てワインボトルに詰められ、消費者の元に届けられます。醸造法の大きな違いは、赤ワインで行なった「浸漬(マセレーション)」を行わないという点です。収穫し除梗・破砕した後、浸漬を行わずすぐに圧搾をします。そうすることで、果皮から赤い色素が移らずに透明な果汁のみを抽出することができます。 除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 圧搾(あっさく)⇒ 澱抜き(おりぬき)⇒ アルコール発酵 ⇒  マロラクティック発酵 ⇒ 熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め 除梗(じょこう)と破砕(はさい) 除梗と破砕は赤ワインと同じ工程です。白ワインにも完熟したブドウが使用されます。熟したブドウを収穫した後、青臭く苦味の元になる果梗(茎)を取り除き、果粒だけを選別します(除梗)。その後、果粒を機械で破砕することで、果皮が破れ果汁が流れ出ます。破砕する際にブドウの実の中にある種子まで潰すと苦味と渋みが増してしまうため、種子を潰さないようにします。 圧搾(あっさく)果汁だけを取り出すために、破砕した後のブドウを圧搾し、種や皮と果汁を分離します。赤ワインの圧搾はアルコール発酵が開始される前に行うことが基本ですが、白ワインの場合は破砕後すぐに圧搾されます。   澱抜き(おりぬき) 圧搾後の液体は透明でなく濁っています。果汁をタンクに入れ、冷却した状態でしばらく静置し、圧搾時にできた不純物をタンクの底に沈殿させます。不純物を除去した後、上澄みだけを取り除きます。   アルコール発酵 赤ワインと同様に、酵母の働きにより糖分がアルコールへと変わります。途中で意図的に発酵を中断しない限り、タンク内の糖分が無くなるまでおよそ10日間ほど続きます。 なお、アルコール発酵後、酵母の死骸が澱としてタンクや樽の底に溜まります。酵母の死骸はタンパク質のため、ワインの味わいに好ましい影響を与えることもあります。そのため、澱を浮遊させアミノ酸などの旨味成分を抽出するために攪拌(かくはん)が行われる場合もあります。   マロラクティック発酵と熟成 白ブドウでも、アルコール発酵に続いてマロラクティック発酵(ワイン中のリンゴ酸が乳酸に変わり酸味がまろやかになる)が起こります。ところが、白ワインでは特に、ブドウの特徴を生かしフレッシュな酸味をキープしたい場合があり、そのようなワインを造る際には、マロラクティック発酵の発生を避けた醸造手法をとる場合があります。  白ワインの熟成においては、ワインが酸化してフレッシュさや酸味が損なわれることを避けるために、空気との接触を避ける目的でステンレスタンクやコンクリートタンクが使用される場合が多いです。一方、ワインによっては熟成時に樽を使用する場合もあります。    清澄(せいちょう)、濾過(ろか)処理...

赤ワインと白ワインの違い(白ワインの造り方)

白ワインの造り方 赤ワインと白ワインの違い(ブドウの違い)で触れましたが、白ワインは白ブドウを使用して造られるのが基本です。では、造り方のプロセスは赤ワインと何が違うのでしょうか?今回は白ワインの造り方について詳しくご紹介します。 一般的な白ワインは、ブドウを収穫した後、以下のプロセスを経てワインボトルに詰められ、消費者の元に届けられます。醸造法の大きな違いは、赤ワインで行なった「浸漬(マセレーション)」を行わないという点です。収穫し除梗・破砕した後、浸漬を行わずすぐに圧搾をします。そうすることで、果皮から赤い色素が移らずに透明な果汁のみを抽出することができます。 除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 圧搾(あっさく)⇒ 澱抜き(おりぬき)⇒ アルコール発酵 ⇒  マロラクティック発酵 ⇒ 熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め 除梗(じょこう)と破砕(はさい) 除梗と破砕は赤ワインと同じ工程です。白ワインにも完熟したブドウが使用されます。熟したブドウを収穫した後、青臭く苦味の元になる果梗(茎)を取り除き、果粒だけを選別します(除梗)。その後、果粒を機械で破砕することで、果皮が破れ果汁が流れ出ます。破砕する際にブドウの実の中にある種子まで潰すと苦味と渋みが増してしまうため、種子を潰さないようにします。 圧搾(あっさく)果汁だけを取り出すために、破砕した後のブドウを圧搾し、種や皮と果汁を分離します。赤ワインの圧搾はアルコール発酵が開始される前に行うことが基本ですが、白ワインの場合は破砕後すぐに圧搾されます。   澱抜き(おりぬき) 圧搾後の液体は透明でなく濁っています。果汁をタンクに入れ、冷却した状態でしばらく静置し、圧搾時にできた不純物をタンクの底に沈殿させます。不純物を除去した後、上澄みだけを取り除きます。   アルコール発酵 赤ワインと同様に、酵母の働きにより糖分がアルコールへと変わります。途中で意図的に発酵を中断しない限り、タンク内の糖分が無くなるまでおよそ10日間ほど続きます。 なお、アルコール発酵後、酵母の死骸が澱としてタンクや樽の底に溜まります。酵母の死骸はタンパク質のため、ワインの味わいに好ましい影響を与えることもあります。そのため、澱を浮遊させアミノ酸などの旨味成分を抽出するために攪拌(かくはん)が行われる場合もあります。   マロラクティック発酵と熟成 白ブドウでも、アルコール発酵に続いてマロラクティック発酵(ワイン中のリンゴ酸が乳酸に変わり酸味がまろやかになる)が起こります。ところが、白ワインでは特に、ブドウの特徴を生かしフレッシュな酸味をキープしたい場合があり、そのようなワインを造る際には、マロラクティック発酵の発生を避けた醸造手法をとる場合があります。  白ワインの熟成においては、ワインが酸化してフレッシュさや酸味が損なわれることを避けるために、空気との接触を避ける目的でステンレスタンクやコンクリートタンクが使用される場合が多いです。一方、ワインによっては熟成時に樽を使用する場合もあります。    清澄(せいちょう)、濾過(ろか)処理...

赤ワイン ボトリング

赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方②)

🍇赤ワインの造り方②🍇 前回のブログでは、赤ワインの造り方①として、ブドウの収穫からマロラクティック発酵までご紹介しました。今回は、その後の工程である澱抜きから、ワインが瓶詰めされ皆さんのお手元に届くまでについて詳しくご紹介します。 発酵除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 浸漬(しんせき=マセレーション)⇒ 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン)⇒ アルコール発酵 ⇒ 圧搾 ⇒ マロラクティック発酵 ⇒  澱抜き(おりぬき)⇒熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め     澱抜き(おりぬき) 発酵直後のワインは、皆さんが見慣れた綺麗な液体ではなく、大抵において濁っています。この濁りはブドウのかけらや酵母などが残っているため生まれますが、これらは重さがあるため容器の底に溜まり沈殿物となり、粗い澱と呼ばれます。これを除去するのが澱抜きです。粗い澱が残っているとワインに不快な香りが生じる可能性があるため取り除きますが、熟成中にワインから細かい澱の沈殿物が生じ続けるため、これらは熟成過程において澱抜きを繰り返すことで透明度が高まります。   熟成 ワインの熟成と聞くと、ワインバルやワインショップにインテリアとしても置かれている“木樽”のイメージですが、ワインによっては、生産者が最終的に目指すワインのスタイルによって、樽ではなくステンレスタンクやコンクリートタンクのような容器が選択されることもあります。樽を使用する熟成では、通常オーク(ブナ科)樽が使用されます。 瓶詰めする前の熟成期間は長ければ長いほど良い、というわけではなく、全てのワインが長期熟成によって品質・味が向上するとは限りません。樽を使用する熟成の場合、貯蔵される期間は数週間から長期(例えば36ヶ月)など様々です。樽から抽出される成分により、ワインにアロマ(ヴァニラやトースト)や骨格(ボディ)を与えます。また、オーク樽は水密(樽内からワインが漏れるわけではない)である一方で、樽内は完全な密閉状態にはならず、空気(酸素)との微妙な接触があります。少量の酸素がワインと反応することで、赤ワインのタンニンが和らぎ風味・複雑さが増すだけでなく、清澄作用や色調の安定などの効果をもたらします。 清澄(せいちょう)、濾過(ろか)処理 熟成中に生じるワインからの細かい澱は、澱抜きを繰り返すことで透明度が高まります。さらにワインの透明度を高めるために、卵白などのタンパク質の吸着剤(清澄剤)を用いて、目に見えない浮遊物を凝集させて取り除く場合があり、清澄と呼ばれます。また、澱を素早く取り除くために、発酵後と熟成中にフィルターにかけて濾過することで、透明度や輝きを高める方法もあります。ワインによっては、清澄や濾過をしないものもありますが、一般的にはワインを安定した状態にするための重要な工程と考えられています。瓶詰め清澄、濾過処理が終わると、ようやく瓶詰めとなります。瓶詰めされ、コルクあるいはスクリューキャップで閉栓されます。瓶詰め後すぐに出荷されるものもありますが、瓶の中でさらに熟成されるワインもあります。これら一連の過程を経て、消費者が目にする瓶詰めされたワインが出来上がります! 次のブログでは白ワインの造り方をご紹介します。>白ワインの造り方

赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方②)

🍇赤ワインの造り方②🍇 前回のブログでは、赤ワインの造り方①として、ブドウの収穫からマロラクティック発酵までご紹介しました。今回は、その後の工程である澱抜きから、ワインが瓶詰めされ皆さんのお手元に届くまでについて詳しくご紹介します。 発酵除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 浸漬(しんせき=マセレーション)⇒ 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン)⇒ アルコール発酵 ⇒ 圧搾 ⇒ マロラクティック発酵 ⇒  澱抜き(おりぬき)⇒熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め     澱抜き(おりぬき) 発酵直後のワインは、皆さんが見慣れた綺麗な液体ではなく、大抵において濁っています。この濁りはブドウのかけらや酵母などが残っているため生まれますが、これらは重さがあるため容器の底に溜まり沈殿物となり、粗い澱と呼ばれます。これを除去するのが澱抜きです。粗い澱が残っているとワインに不快な香りが生じる可能性があるため取り除きますが、熟成中にワインから細かい澱の沈殿物が生じ続けるため、これらは熟成過程において澱抜きを繰り返すことで透明度が高まります。   熟成 ワインの熟成と聞くと、ワインバルやワインショップにインテリアとしても置かれている“木樽”のイメージですが、ワインによっては、生産者が最終的に目指すワインのスタイルによって、樽ではなくステンレスタンクやコンクリートタンクのような容器が選択されることもあります。樽を使用する熟成では、通常オーク(ブナ科)樽が使用されます。 瓶詰めする前の熟成期間は長ければ長いほど良い、というわけではなく、全てのワインが長期熟成によって品質・味が向上するとは限りません。樽を使用する熟成の場合、貯蔵される期間は数週間から長期(例えば36ヶ月)など様々です。樽から抽出される成分により、ワインにアロマ(ヴァニラやトースト)や骨格(ボディ)を与えます。また、オーク樽は水密(樽内からワインが漏れるわけではない)である一方で、樽内は完全な密閉状態にはならず、空気(酸素)との微妙な接触があります。少量の酸素がワインと反応することで、赤ワインのタンニンが和らぎ風味・複雑さが増すだけでなく、清澄作用や色調の安定などの効果をもたらします。 清澄(せいちょう)、濾過(ろか)処理 熟成中に生じるワインからの細かい澱は、澱抜きを繰り返すことで透明度が高まります。さらにワインの透明度を高めるために、卵白などのタンパク質の吸着剤(清澄剤)を用いて、目に見えない浮遊物を凝集させて取り除く場合があり、清澄と呼ばれます。また、澱を素早く取り除くために、発酵後と熟成中にフィルターにかけて濾過することで、透明度や輝きを高める方法もあります。ワインによっては、清澄や濾過をしないものもありますが、一般的にはワインを安定した状態にするための重要な工程と考えられています。瓶詰め清澄、濾過処理が終わると、ようやく瓶詰めとなります。瓶詰めされ、コルクあるいはスクリューキャップで閉栓されます。瓶詰め後すぐに出荷されるものもありますが、瓶の中でさらに熟成されるワインもあります。これら一連の過程を経て、消費者が目にする瓶詰めされたワインが出来上がります! 次のブログでは白ワインの造り方をご紹介します。>白ワインの造り方

赤ワイン

赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方①)

赤ワインと白ワインの違いは? 前回のブログでご紹介したとおり、赤ワインは黒ブドウから、白ワインは白ブドウから造られるのが基本です。ですが…皆さんがよくご存じのシャンパンのように、黒ブドウを使用して造られる(一部または100%)“白ワイン”もあります! 赤ワインと白ワインの違いは?と聞かれた際に真っ先に思いつくのは、ワインの色の違いです。この色の違いは、使用するブドウが異なるだけではなく、ワインの造り方によって生まれます。 それでは、先ず、赤ワインの造り方から見ていきましょう。   🍇赤ワインの造り方🍇 一般的な赤ワインは、ブドウを収穫した後、以下のプロセスを経てワインボトルに詰められ、消費者の元に届けられます。 除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 浸漬(しんせき=マセレーション)⇒ 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン)⇒ アルコール発酵 ⇒ 圧搾 ⇒ マロラクティック発酵 ⇒ 澱抜き(おりぬき)⇒熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め 除梗(じょこう)と破砕(はさい) ワインには完熟したブドウが使用されます。熟したブドウを収穫した後、青臭く苦味の元になる果梗(茎)を取り除き、果粒だけを選別します(除梗)。その後、果粒を機械で破砕することで、果皮が破れ果汁が流れ出ます。破砕する際にブドウの実の中にある種子まで潰すと苦味と渋みが増してしまうため、種子を潰さないようにします。 浸漬(しんせき=マセレーション) 破砕された果粒は、果汁、種、果皮に分かれますが、これらが一緒にタンクの中に入れられ、2~3週間ほど漬け込まれます。この作業を浸漬と呼びます。この時、ブドウの果皮からは色素(アントシアニン)が、種からはタンニンが抽出されます。黒ブドウの果皮から色素が抽出されることで、果汁に赤い色が付きます。 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン) 浸漬は、果汁、種、果皮がタンク内に混在する状態で行われますが、ひとたびアルコール発酵が開始すると、炭酸ガスが発生することで、種と果皮がタンクの表面に押し上げられます。 表面にできた種と皮の層(果帽)を棒でタンク内に押し戻す作業はパンチングダウンと呼ばれ、果帽を押し戻しかき混ぜることで、アロマ、色素、タンニンを果汁に移しやすくすします。また、かき混ぜる過程でタンク・液体に空気が入り込むことで、発酵に必要な酵母の働きが良くなり、糖分やタンク内の液体温度も均等化していきます。 大きなタンクの場合、種と皮の層はかなりの暑さになり、パンチングダウンの手作業は重労働となります。そこで、作業効率化のためにも、タンクの果汁をポンプで汲み上げてタンク上部から注ぐ、ポンピングオーバーという作業を行うことで、パンチングダウンと同様の効果を得ています。 また、ラックアンドリターンは、タンク内の発酵中の果汁だけを別の容器に抜き取り、再度、元のタンクの果帽の上に果汁を送り戻す作業です。この方法は非常に高い抽出効果があるので、通常は発酵中に1回か2回だけ行います。 アルコール発酵 酵母の働きにより糖分がアルコールへと変わりますが、その変化の過程で、二酸化炭素と熱が発生します。アルコール発酵は、浸漬を開始した時から始まり、タンク内の糖分が無くなるまでおよそ10日間ほど続きます。 圧搾...

赤ワインと白ワインの違い(赤ワインの造り方①)

赤ワインと白ワインの違いは? 前回のブログでご紹介したとおり、赤ワインは黒ブドウから、白ワインは白ブドウから造られるのが基本です。ですが…皆さんがよくご存じのシャンパンのように、黒ブドウを使用して造られる(一部または100%)“白ワイン”もあります! 赤ワインと白ワインの違いは?と聞かれた際に真っ先に思いつくのは、ワインの色の違いです。この色の違いは、使用するブドウが異なるだけではなく、ワインの造り方によって生まれます。 それでは、先ず、赤ワインの造り方から見ていきましょう。   🍇赤ワインの造り方🍇 一般的な赤ワインは、ブドウを収穫した後、以下のプロセスを経てワインボトルに詰められ、消費者の元に届けられます。 除梗(じょこう)⇒ 破砕(はさい)⇒ 浸漬(しんせき=マセレーション)⇒ 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン)⇒ アルコール発酵 ⇒ 圧搾 ⇒ マロラクティック発酵 ⇒ 澱抜き(おりぬき)⇒熟成 ⇒ 清澄(せいちょう)⇒ 濾過(ろか)処理 ⇒  瓶詰め 除梗(じょこう)と破砕(はさい) ワインには完熟したブドウが使用されます。熟したブドウを収穫した後、青臭く苦味の元になる果梗(茎)を取り除き、果粒だけを選別します(除梗)。その後、果粒を機械で破砕することで、果皮が破れ果汁が流れ出ます。破砕する際にブドウの実の中にある種子まで潰すと苦味と渋みが増してしまうため、種子を潰さないようにします。 浸漬(しんせき=マセレーション) 破砕された果粒は、果汁、種、果皮に分かれますが、これらが一緒にタンクの中に入れられ、2~3週間ほど漬け込まれます。この作業を浸漬と呼びます。この時、ブドウの果皮からは色素(アントシアニン)が、種からはタンニンが抽出されます。黒ブドウの果皮から色素が抽出されることで、果汁に赤い色が付きます。 果帽(かぼう)の管理(パンチングダウン、ポンピングオーバー、ラックランドリターン) 浸漬は、果汁、種、果皮がタンク内に混在する状態で行われますが、ひとたびアルコール発酵が開始すると、炭酸ガスが発生することで、種と果皮がタンクの表面に押し上げられます。 表面にできた種と皮の層(果帽)を棒でタンク内に押し戻す作業はパンチングダウンと呼ばれ、果帽を押し戻しかき混ぜることで、アロマ、色素、タンニンを果汁に移しやすくすします。また、かき混ぜる過程でタンク・液体に空気が入り込むことで、発酵に必要な酵母の働きが良くなり、糖分やタンク内の液体温度も均等化していきます。 大きなタンクの場合、種と皮の層はかなりの暑さになり、パンチングダウンの手作業は重労働となります。そこで、作業効率化のためにも、タンクの果汁をポンプで汲み上げてタンク上部から注ぐ、ポンピングオーバーという作業を行うことで、パンチングダウンと同様の効果を得ています。 また、ラックアンドリターンは、タンク内の発酵中の果汁だけを別の容器に抜き取り、再度、元のタンクの果帽の上に果汁を送り戻す作業です。この方法は非常に高い抽出効果があるので、通常は発酵中に1回か2回だけ行います。 アルコール発酵 酵母の働きにより糖分がアルコールへと変わりますが、その変化の過程で、二酸化炭素と熱が発生します。アルコール発酵は、浸漬を開始した時から始まり、タンク内の糖分が無くなるまでおよそ10日間ほど続きます。 圧搾...

赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン

赤ワインと白ワインの違い(ブドウの違い)

赤ワインと白ワインの違いは? ワインには赤と白、その中間色のロゼもありますが、どうしてそのような違いが生まれるかご存知ですか?ここでは、その違いを生み出すブドウの違い、ワインの造り方の違いにいて詳しくご紹介します。   赤ワインと黒ブドウ、白ワインと白ブドウ 赤ワインは黒ブドウ、白ワインは白ブドウと呼ばれる品種から造られます。黒ブドウと聞くと、一体どんなブドウ?と思われるかもしれませんが、スーパーでもよく見る巨峰などのように、ブドウの皮が全体的に濃い紫色をしたブドウが黒ブドウです。 一方で白ワインは、皮が真っ白なブドウから造られる…というわけではなく、一般的にはマスカットのように、皮が黄緑色をした白ブドウから造られます。中には、グリ(灰色)と呼ばれ、突然変異によって皮がグレーやピンク色がかった白ブドウ品種もあります。 ロゼワイン?オレンジワイン? では、ピンクに近い色味を帯びたロゼワインや最近話題のオレンジワインは、ロゼブドウやオレンジブドウから造られるのでしょうか?実は、ブドウ品種でロゼやオレンジのような分類があるわけではありません。ロゼには黒ブドウ、オレンジワインには白ブドウが使用されます。 赤ワインの赤色は、ブドウの果皮に含まれるアントシアニンという色素がブドウ果汁に移ることで生まれます。白ブドウにはアントシアニンは基本的に含まれていません。ロゼワインの製法は幾つかありますが、ワインを造る始めの過程で黒ブドウの果皮から一定程度の色素を抽出し、その後、果皮と分離させた状態にして仕上げていきます(黒ブドウを使用し白ワインの造り方で仕上げる)。オレンジワインはこの反対で、白ブドウを果皮と一緒に発酵させます(白ブドウを使用し赤ワインの造り方で仕上げる)。 次回のブログでは、赤ワイン、白ワインの造り方について詳しくご紹介します!  

赤ワインと白ワインの違い(ブドウの違い)

赤ワインと白ワインの違いは? ワインには赤と白、その中間色のロゼもありますが、どうしてそのような違いが生まれるかご存知ですか?ここでは、その違いを生み出すブドウの違い、ワインの造り方の違いにいて詳しくご紹介します。   赤ワインと黒ブドウ、白ワインと白ブドウ 赤ワインは黒ブドウ、白ワインは白ブドウと呼ばれる品種から造られます。黒ブドウと聞くと、一体どんなブドウ?と思われるかもしれませんが、スーパーでもよく見る巨峰などのように、ブドウの皮が全体的に濃い紫色をしたブドウが黒ブドウです。 一方で白ワインは、皮が真っ白なブドウから造られる…というわけではなく、一般的にはマスカットのように、皮が黄緑色をした白ブドウから造られます。中には、グリ(灰色)と呼ばれ、突然変異によって皮がグレーやピンク色がかった白ブドウ品種もあります。 ロゼワイン?オレンジワイン? では、ピンクに近い色味を帯びたロゼワインや最近話題のオレンジワインは、ロゼブドウやオレンジブドウから造られるのでしょうか?実は、ブドウ品種でロゼやオレンジのような分類があるわけではありません。ロゼには黒ブドウ、オレンジワインには白ブドウが使用されます。 赤ワインの赤色は、ブドウの果皮に含まれるアントシアニンという色素がブドウ果汁に移ることで生まれます。白ブドウにはアントシアニンは基本的に含まれていません。ロゼワインの製法は幾つかありますが、ワインを造る始めの過程で黒ブドウの果皮から一定程度の色素を抽出し、その後、果皮と分離させた状態にして仕上げていきます(黒ブドウを使用し白ワインの造り方で仕上げる)。オレンジワインはこの反対で、白ブドウを果皮と一緒に発酵させます(白ブドウを使用し赤ワインの造り方で仕上げる)。 次回のブログでは、赤ワイン、白ワインの造り方について詳しくご紹介します!  

プーリアのDOP(DOCとDOCG)

プーリアワインの地理的表示(GI)について①

プーリアのDOP(DOCとDOCG)とIGP(IGT) ① プーリア州のワインの地理的表示(GI)は、2023年2月現在、DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)が4、DOC(Denominazione di Origine Controllata)が28、IGP(Vino a Indicazione Geografica Protetta)が6あります。 例えば、"DOCアレアティコ・ディ・プーリア"や"IGPプーリア" の対象がプーリア全域であるように、同じエリア内に複数の格付けが混在する場合もあります。複数の格付けが該当するエリアでは、規定された各格付けの基準を満たすことで、ワインにDOCやDOCGを表記することができます。 プーリア州のDOCG4つ、DOC28はこちらです。 DOCG 1   Castel del Monte Bombino Nero カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ 2   Castel del Monte Nero di...

プーリアワインの地理的表示(GI)について①

プーリアのDOP(DOCとDOCG)とIGP(IGT) ① プーリア州のワインの地理的表示(GI)は、2023年2月現在、DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)が4、DOC(Denominazione di Origine Controllata)が28、IGP(Vino a Indicazione Geografica Protetta)が6あります。 例えば、"DOCアレアティコ・ディ・プーリア"や"IGPプーリア" の対象がプーリア全域であるように、同じエリア内に複数の格付けが混在する場合もあります。複数の格付けが該当するエリアでは、規定された各格付けの基準を満たすことで、ワインにDOCやDOCGを表記することができます。 プーリア州のDOCG4つ、DOC28はこちらです。 DOCG 1   Castel del Monte Bombino Nero カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ 2   Castel del Monte Nero di...