プリミティーヴォ(Primitivo)の特徴

プリミティーヴォ

ジンファンデル(Zinfandel)は、プリミティーヴォ(Primitivo)?

プリミティーヴォ種は力強いワインを作ることで世界的にも評価されている品種の一つで、プーリアで最も有名とも言える土着品種です。イタリア農林省によるとプリミティーヴォの栽培面積は約18,000ヘクタール。プーリア州全土で栽培されていますが、州の中部に当たるエリアで盛んに栽培されています。

アメリカでは「ジンファンデル(Zinfandel)」として有名なので、その名前の方が知られているかもしれません。DNA検査や研究によると、プリミティーヴォとジンファンデルは大変似通ったDNAを持っており、2つのブドウはともにバルカン半島(クロアチアからモンテネグロ周辺あたり)発祥の同一品種とされています。

では、その大元のブドウ品種は?というと…、クロアチアの中でもダルマチア地域が起源の黒ブドウ 、“Crljenak Kaštelanski”(ツルリェナク・カシュテランスキ)、シノニムで “Tribidrag”(トリビドラグ)と考えられています。このブドウが、アメリカではジンファンデル、イタリアではプリミティーヴォにあたります。

また、このブドウがアメリカ大陸にたどり着いた経緯については、恐らくはウィーン(オーストリア)経由で1820年代に入ったのだろうと考えられています。当時、ダルマチア地域(クロアチア)を支配していたのはオーストリア=ハンガリー帝国。ウィーンにあるシェーンブルン宮殿の苗床にクロアチア原産のCrljenak Kaštelanski(Tribidrag)が植えられており、その苗木がアメリカ東海岸に住む人物に渡ったようです。当時は生食用のブドウとして扱われていたようですが、次第に西側のカリフォルニアまで広がり、ワイン用のブドウ品種として定着したのではと考えられています。

 

プリミティーヴォの起源と名前の由来

イタリア国内で”プリミティーヴォ”と呼ばれるブドウ品種、どのようにプーリアにたどり着いたのか正確には分かっていません。ただ、起源が今のクロアチア地域であることから、プリミティーヴォもプーリア州の東から西へと移動し、その土地(テロワール)に適応しながら、プーリアの土着品種として定着していったようです。

実は、プリミティーヴォ、プーリア州の中では先述のジョイア・デル・コッレの地域からプーリア全域に広まったと考えられています。18世紀、ジョイア・デル・コッレにあった教会の司祭であるFrancesco Filippoが、郊外のLipontiにクロアチア原産のブドウを幾つか栽培し始めたとのこと。

名前の語源は、ラテン語の「primativus」や古いイタリア語で「primaticcio」の言葉から来ており、いずれも「最初に熟す」や「早生」といった意味となります。そして、その名前通り、このブドウの特徴は他の黒ブドウ品種よりも早く熟します。※プリミティーヴォ(primitivo)という名前からプリミティブ(primitive: 原始的な)という言葉を連想してしまいますが、原始的という意味ではないようです。

収穫時期は、もちろん畑がある地域やワイナリーが目指すワインによって異なりますが、早いところでは8月中~下旬頃からとかなり早めです。また、一粒ごとに果実の完熟度が異なるのもこの品種の特徴です。

プリミティーヴォの香りと風味

プリミティーヴォは、熟すタイミングが早いことに加え、不均一に熟成する特徴も持ちます。収穫時期が2~3日遅れただけでも果実が萎み急激に酸味や新鮮な香りが失われてしまいます。果皮の色は濃いのですが、厚さは中程度、湿度やカビの影響を受けやすく、とてもデリケートです。

プリミティーヴォ種の完熟ブドウ


不均一に熟成するということは、同じ房でも一部の果実は収穫時にはすでに熟しきって干しブドウ状態となっているため、糖度が高いブドウが採れます。アルコールはブドウ内の糖分を分解して作り出されるため、アルコール度数が高いワインに仕上がることも珍しくありません。通常、プリミティーヴォで造られるワインのアルコール度数は14度前後ですが、16度~17度、時には18度のワインもあります。

香りはレッドチェリーなどの赤系果実からブルーベリーやブラックベリーの黒系果実。果実の熟成具合によって、ドライフルーツ、栽培された土壌によってはコショウや甘草(リコリス)の香りを呈するワインもあります。

味わいは濃厚でパワフル、豊かな果実味が感じられます。このワインにはチーズ、特に濃厚な肉料理や煮込み料理と合うでしょう。若いワインの中にはタンニンが強く出るものもありますが、オーク樽で熟成させることで色調が安定しまろやかな味わいになります。

オーク樽での熟成は一般的ですが、最近のトレンドとしては、オーク樽比率を少なくしたりスティールタンクのみで熟成させることで樽の香り付けを控え、土壌やブドウ本来の味を表現した素晴らしいワインを造り出すワイナリーも出てきています。

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