ススマニエッロの起源
ススマニエッロ、聞きなれないそして覚えにくい名前ですが、近年プーリア州のワイナリーが注目する黒ブドウの一つです。
プーリア州の中でも南部にあたる、アドリア海に面した港町ブリンディジ(Brindisi)の周辺が主な栽培地です。
ススマニエッロからは赤ワイン&ロゼワインの何れも造られますが、かつてはブリンディジ周辺で栽培が盛んなネグロアマーロ種や、州都のバーリ(Bari)周辺ではモンテプルチャーノ種などとよくブレンドされていました。
今では、より良質なブドウ栽培への取り組みが進み、ススマニエッロ種のみで造られる赤・ロゼワインも増えています。
ススマニエッロのブドウの起源は諸説あり、恐らくはアドリア海の対岸にあるダルマチア(Dalmatia、今のクロアチアの一部)がそもそもの原産地ではないかと考えられてはいますが、その後、長らくプーリア州で栽培されていたことから、プーリア州の地場品種として登録されています。
ススマニエッロの名前の由来と品種特徴
ススマニエッロという名前ですが、もともと"somarello"という言葉が関係しています。"somarello"にはロバという意味があります。ブドウ品種の名前になんでロバ!?と思いますよね。
ススマニエッロ、今では珍しい品種ですが、過去にはブリンディジ周辺でよく栽培されていたようです。
このブドウは、木が若い頃には沢山の実をつけるため、収穫時には"ロバ"を使用してブドウを運ぶ必要があったことから、この名前がついたのではと言われています。
ところが…この品種、大体10年ほど経つと収穫量が急減してしまいます。
このような収穫量における特徴があるため、20世紀の終わり頃にはススマニエッロが絶滅寸前の品種になったのでは、と考えられています。
以前のプーリアでは、イタリア北部へワイン用ブドウを輸出する目的で、大量生産に重きが置かれていた側面もあったことから、やむを得なかったのでしょうか…。
その一方で、21世紀に入ってからは、地場品種の保護やブドウの"質"をより重要視する考えも進み、ススマニエッロのブドウ自体の価値が再発見されました!
収穫量が落ち始めた木に出来るススマニエッロの数少ないブドウは、糖度が凝縮されており、且つ、酸味も保持していることから、良いワインが造れるポテンシャルのあるブドウ品種として、改めて見直しが進んでいます。
また、ススマニエッロで造るワインは鮮やかな色になります。ワインに赤色を加える役目も果たせるという点からも、ネグロアマーロなどのブドウのブレンド種として相性が良いと考えられています。
I Buongiorno(イ・ボンジョールノ)のススマニエッロにも、ラベルにロバのデザインが。
ススマニエッロの香りと風味
ススマニエッロの典型的な香り・風味の特徴は、赤系のベリーやプラムなどの果実の香りです。
オーク樽で熟成されたワインは、樽のヴァニラやナツメグのような香りも呈します。
一本の木になるブドウの生産量を抑える等、丁寧に管理された高品質なブドウでは、リコリスなどの香辛料やダークチョコレートのような、よりリッチな香り・風味が加わります。
ビーフシチューや牛肉のワイン煮込み、ラグーソースのパスタなど、ちょっと濃い目のソースを使用した料理と合わせると、ススマニエッロの整った酸味・果実味とよく合います🍷
※参考データ:イタリア農林省ホームページ、Susumaniello n. - Puglia Wine World、Susumaniello (enotecaregionalepuglia.com)